2007年6月 6日 (水)

「るつぼ」の中の私②。

今日は1日曇り空です。

ここ2,3日はこんな天気が続いている。

梅雨みたいな感じ。

ルームメイトがおすそ分けしてくれた手作りの特大スコーンを食べながら、

salyuなんかを聴きながら、

すっぴんに、ユニクロのルームワンピのまま、

ぼんやりとパソコンの画面に向かっています。

こんな時間が結構好きだったりする。

 

バイト先のボスの姉さんが厳しく、そして時々とっても意地悪なので、

軽く(いや、かなり)イライラが募っています。

平日に、この姉さんと働く時間が精神的に大変疲れる・・。

だから、こんな風にリラックスできる時間はとても貴重。

バイト中は、小姑ってこんな感じなのかもって思ったりしながら、

姉さんに言われるがまま掃除にも励んでます。

ひそかに自分のことをシンディー(シンデレラ)と呼んで慰めています・・・。

良く言いすぎ?

 

週末はボスのラビ(ラディじゃなかった・・)と2人で仕事。

金、土曜夜のピタパンの客層は、さらにパワーアップします。

妖艶なメイクにへそピアスのベリーダンサーが、セクシーに踊っていったり。

ピタパンの向かいにあるレズビアンクラブから大量に女の子達が来て、店内が独特なムードになったり。

猫耳のパンク女性(男性?)のダンスはまた長く続き。

そして、全裸(小さいパンツはいてたかな?)のゲイ(愛情をこめてこの呼び方をしています)10人くらいの集団がチャリ2人乗りで叫びながら店の前を横切っていったり・・。

カールや、隣のクレープ屋の店長、フィリピン人の店員は、夜中に来て、店内の音楽のボリュームを最大にして好き放題踊っていく始末。

トロントでもさらに特別なエリア。

また「るつぼ」の中に入ってしまった感が否めない。

 

そんな様子とはうって変わって、日曜昼間のピタパンは本当に静か。

金、土曜にはじけ疲れた愛すべきハッピーな人達は、日曜はきっと家でおとなしくしているんだろう。

ラビと私。

少ない客をゆっくりと相手にしながら、仕込みも終わってしまうと、レバノンデザートを食べながらお互いの国自慢をしてたりする。

土曜夜に飲みすぎたカールがやってきました。

いつもグリークサラダとフレンチフライのオーダー。

そして彼専用のフレンチフライ用のソースを作る。

ホットソースとマヨネーズとケチャップとツヅキソース(なんかヨーグルトみたいなソース)を、決められた順に混ぜていく・・・順番が違うと味が異なるらしい・・本当か??

「みんなで座って食べようよ、どうせ私以外に客なんていないんだから!」

という彼の言葉で、苦笑いのラビと私とカールは3人イスを並べて道路に向かって座った。

 

・・・そこへ突然の土砂降り。

チャーチストリートへ向かって完全に店は開けている。窓もドアもなし。

 

なぜか、

すごく素敵で貴重な時間に思えた。

雲ひとつない快晴ももちろん好きだけれど、こんな曇天のなか、突然降る雨を眺めるのはもっと好きかもしれない。

道路に打ち付ける雨粒の水玉模様を、3人で静かに眺める。

雨に打たれるのが大好きだというラビは、半分ずぶぬれになりながら上機嫌。

カールは二日酔いのぼんやりとした目で、ポテトを満足げに食べている。

「雨粒が落ちるのがスローモーションに見えない?・・・」なんて、うっとりと浸りながら。

私は、激しい雨と、いっきに涼しくなる空気を感じて、ずぶぬれになりながらもゆったりと歩いていく人達を眺めている。

静かな女性シンガーの歌声が店内に流れる。

I will remember you, Will you remember me?...

 

なんか、完璧な時間に感じた。

 

・・そんな風に感じる瞬間って、ときどきありませんか?

何か特別なことが起きたわけじゃないけど、

なぜか、「この状況って、すごく満たされてるかも」と思える瞬間。

自分の周りの人達や、景色や、温度や、においや、音楽が全て完璧だと思える瞬間。

そういう風に思ったときは、なるべく文章に残したり、声に出して伝えるようにしています。

だってそんな瞬間って稀にしか起こらないから。 

 

ラビとカールと私。

ばらばらな国から、それぞれの事情でこの街へ来て、たまたまこの小さな店で同じ突然の雨に降られている。

出会いも多いけど、その分別れも多い。いろんな人が出たり入ったり。

「るつぼ」の中で暮らしている人達。

こんな瞬間を私は覚えていられるかな。彼らは覚えていてくれるだろうか。

 

日曜夕方は少し寂しい。

きっとこのときの3人は一様に少し寂しい表情をしていたに違いない、、なんてぼんやり思ってます。

それでも、そんな完璧な瞬間は一瞬で終わってしまう・・・。

だからこうやっていちいち文章に残しておかないと。

毎日の忙しさの中で忘れてしまうから。

 

さ、また平日は姉さんの厳しさにも耐えていかなくては。

学校もあと2週間。

プレゼンにテストにばたばたになってしまうかも。

ちょっと満たされた瞬間に浸っているのはほどほどにします。

普段の生活でセンチメンタルになれる時間なんてほんと一瞬。

シンディー、、、頑張りまっす!

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2007年5月16日 (水)

「るつぼ」の中の私。

周りにネガティブさをぶちまけたあげく、やっとバイトが決まりました・・・。

心配をしてくれたり、励ましてくれた私の周りの大切な方々、ありがとう。

  

そして早速働き始めてます。

ピタの店です。

ピタとは中東のパンで(ピタパンとも言うらしい)、チキン、ポーク、野菜などの具を載せて丸めて食べるものです。

店名はそのままにPITA PAN。

レバノン人の姉弟によって経営されてる店です。

弟のラディが店長として常に店で働き、姉のサナはよく店を手伝いにきてます。

アラビア語が時折飛び交い、私との会話は英語、そして挨拶はフランス語だったりする。

私はアラビア語もフランス語も挨拶程度しかわからないのだけれど・・。

ラディは、笑顔とウインクのかわいい(年上だけど・・・)、チャーミングなボスで、働き始めるときも、「小さな店だからみんな家族と思って接してくれればいいからね」といって、私の緊張をすぐに解きほぐしてくれました。「Don't worry」が口癖。

姉のサナはしっかりしていて、多少厳しい・・。「You know what I mean?」が口癖。やたら繰り返すので、ちょっと嫌気もさすけど、ちゃきちゃきした姉さん。ほら、いつでも女性は女性に厳しい・・、これは万国共通。

私の他にもう一人スタッフがいて、彼女はガイアナからの移民。彼女の英語は、、、聞き取りにくい。何語訛りなんだ?でも長くこの店で働いてるらしくなんでも知っていて、ボスにも文句をばんばん言うおもしろいおばちゃんです。

小さい店なので、厨房、ピタ作り、接客、全てをこなさなきゃいけない!

                                                        

で、場所ですが・・・。

CHURCH X WELLESLEYという交差点に位置しております。

   

そう、トロントに住む人なら誰もが知っている、

                                                         

ゲイタウンの中心。

   

客の90%がゲイ、レズビアンの方々です(ボスの統計に基づく)。

お客さんが本当に”興味深い”人達ばかりで、、飽きない。                       

まだ4日しか働いていないけど、店には常にそんな興味深い人達が出入りしている。

               

猫耳のへアーバンドをつけたパンクな女性が来て、無表情のままオーダーをして、ピタができあがるまでずっとさらに無表情に不可解なダンスをしてたり。真昼間に。ボスも私も敢えて何もつっこまず。

ものすごく美人でモデルのような女性客に感動していたら、実は男性だったり。ボスはすでに誰が来ても本当はどっちの性かの見分けがつくようになったらしい。

ボスの姉さんの子供たちが来て、厨房でひたすら歌ったり踊ったりしていたり。人形みたいでかわいいけど、途中から多少じゃまだった・・。

毎日来るボスのゲイの友達カールにはなぜか好かれて、来るたびにハイタッチしたみたり。ゲイでいるのはもったいないくらいおしゃれで男前なのに。今日はシャキーラにあわせて店内でかなりセクシーなダンスをしてたな・・。のりのりです。周りの目一切関係なし。夏にはココナッツオイルをたっぷり塗ってビーチで焼くらしい。誘われたけど、、ほんと無理なので・・。

         

トロントは本当に「人種のるつぼ」といわれる街で、様々な人種、言語、宗教が入り交ざって成り立っているところだけれど、この店の周りは、さらに性別も入り交ざっている。

ぱっと見ただけでは、どこの国から来たのか、何が母国語なのか、男性なのか、女性なのか、全くわからない。

 

不思議な感覚。

飛び込んでしまった感じ。

私はきっと、るつぼの中の、またその中にいる。

でも、それを楽しんでいる私がいる。

久々のバイトに軽く筋肉痛になったりして(なぜ?)疲れるけれど、やっぱり新しいことをして、いろんな人に会うのは、単純に楽しい。

この(日本に住んでいる時からしてみれば)異常な(?)状況にも笑える。

  

今日もカールはこう言って去っていった。

I'm a happy person, Life is short, life is fun!!... I love you guys!

・・・彼(彼女?)もきっと、へこむことはあるんだろうな。

でもひたすらに明るい。

                                                       

ひたすらに迷ったって、へこんだって、泣いたって、負けたって、毎日は過ぎていく。

だったら少しでも笑ってみたほうがいいのかも。

るつぼの中心にいるだろう私。

今日、私の笑顔は素敵だとほめられた。

カナダのおじさんにも好かれるんだって思ったら、

「女性だよ、見た目は男だけどね」ってボスからの指摘。

 

・・・まだまだです。見る目を鍛えます。

 

  

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