SLUMDOG MILLIONAIRE
ボストンへ来て初めて映画館へ行った。
そもそも映画館自体へもずっと来てなかったと思う。
前回行ったのはいつだったのだろう?
『スラムドッグ・ミリオネア』
昨年の秋、トロント国際映画祭にて最高賞を受賞してから、数々の賞を受けてきた作品。
世界最大のクイズショーである「クイズ・ミリオネア」の最後の1問までたどり着いた主人公、ムンバイのスラム街で生まれ育ったこの少年が、どうやって全ての回答を知り得たのか、という物語。
脚本家は、私の大好きな映画「フル・モンティ」を手がけており、監督は「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。
物語はテンポが良く、場面ごとに使われる音楽が素晴らしいと思った。
スラムにおける孤児達の受ける残酷な状況や暴力に目を覆いたくなる場面もあるし、
ストリートチルドレン達が懸命に生きていく姿に息が詰まりながら、過激なほどのインドでの貧富の差を改めて目の当たりにする。
でもそれだけではなく、パワフルな画面構成の中に、微笑ましいユーモアや、心苦しいほどの純愛も含まれている。
物語の中で、どうやって全ての答えを知り得たのかと尋問された主人公が言う。
『生きながら学んだんだ』
『スラムドッグ』は、日本語では『スラム街の負け犬』と翻訳されていた。
人は負けて負けまくっても、生きていかなければいけないし、食べていかなくてはいけない。
『負ける』というのは、人によって定義が違うかもしれないけれど、
ここでいうスラム街で育ってきた孤児たちは、悲しいけれど、『負け犬』と定義づけされてしまうのだ。
物乞いをする目を焼かれた少年が、主人公ジャマールに言う。
『僕らは同じなんだ。ただ僕の方が、君より運が悪かったんだろうね。』
物語はありえない設定かもしれないが、その背景にあるもの全ては今現在でも進行中の本物の世界。
日本では4月に公開されるらしいので、よかったら観てみてください。
http://slumdog.gyao.jp/site/index.php
久々に映画館に行ったら、(きっと大きなところに行ったからかもしれないが)シートのすわり心地に感動してしまった。
肘掛が上げられるので、カップル達は家にいるかのごとく抱きあって鑑賞している。
私は誰かと映画館に行くのが苦手だ。
大概誰かと映画館に行くと、自分的にイマイチなものを観てしまい、観終わった後にお互いなんだか気まずい感じになる。
高校の頃、デートで映画を見に行くというべたなことをしたら、なぜか『マディソン郡の橋』を選択してしまい、エンドロールを観ながら、「失敗したなぁ」と思ったのを覚えている。
あれからデートで映画館へ行くというのは、私の中では最後の選択になった。
でもあの映画は、高校の頃観たのが間違いだったわけで、10年後くらいに改めて一人で見たら、号泣してしまい大変だった。
観るべきタイミングも重要なのだ。
同じ映画でも、自分が鑑賞したときの状況とか、年齢とか、場所とか、誰と観たかということで感じ方が変わるから面白い。
映画の内容自体は変わっていないのに、自分自身が変わっていっているんだ。
だけど、随分昔から憧れる女性像は変わりがないようで。
それは、
『LE GRAND BLEU』のジョアンナだ。
彼女が物語の最後でジャックマイヨールにかける言葉に
何度観ても、
ただただ、すごいなぁと思う。
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