2009年2月 2日 (月)

SLUMDOG MILLIONAIRE

ボストンへ来て初めて映画館へ行った。

そもそも映画館自体へもずっと来てなかったと思う。

前回行ったのはいつだったのだろう?

 

『スラムドッグ・ミリオネア』

昨年の秋、トロント国際映画祭にて最高賞を受賞してから、数々の賞を受けてきた作品。

世界最大のクイズショーである「クイズ・ミリオネア」の最後の1問までたどり着いた主人公、ムンバイのスラム街で生まれ育ったこの少年が、どうやって全ての回答を知り得たのか、という物語。

脚本家は、私の大好きな映画「フル・モンティ」を手がけており、監督は「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。

物語はテンポが良く、場面ごとに使われる音楽が素晴らしいと思った。

スラムにおける孤児達の受ける残酷な状況や暴力に目を覆いたくなる場面もあるし、

ストリートチルドレン達が懸命に生きていく姿に息が詰まりながら、過激なほどのインドでの貧富の差を改めて目の当たりにする。

でもそれだけではなく、パワフルな画面構成の中に、微笑ましいユーモアや、心苦しいほどの純愛も含まれている。

物語の中で、どうやって全ての答えを知り得たのかと尋問された主人公が言う。

『生きながら学んだんだ』

 

『スラムドッグ』は、日本語では『スラム街の負け犬』と翻訳されていた。

人は負けて負けまくっても、生きていかなければいけないし、食べていかなくてはいけない。

『負ける』というのは、人によって定義が違うかもしれないけれど、

ここでいうスラム街で育ってきた孤児たちは、悲しいけれど、『負け犬』と定義づけされてしまうのだ。

物乞いをする目を焼かれた少年が、主人公ジャマールに言う。

『僕らは同じなんだ。ただ僕の方が、君より運が悪かったんだろうね。』

 

物語はありえない設定かもしれないが、その背景にあるもの全ては今現在でも進行中の本物の世界。

日本では4月に公開されるらしいので、よかったら観てみてください。

http://slumdog.gyao.jp/site/index.php

 

久々に映画館に行ったら、(きっと大きなところに行ったからかもしれないが)シートのすわり心地に感動してしまった。

肘掛が上げられるので、カップル達は家にいるかのごとく抱きあって鑑賞している。

私は誰かと映画館に行くのが苦手だ。

大概誰かと映画館に行くと、自分的にイマイチなものを観てしまい、観終わった後にお互いなんだか気まずい感じになる。

高校の頃、デートで映画を見に行くというべたなことをしたら、なぜか『マディソン郡の橋』を選択してしまい、エンドロールを観ながら、「失敗したなぁ」と思ったのを覚えている。

あれからデートで映画館へ行くというのは、私の中では最後の選択になった。

でもあの映画は、高校の頃観たのが間違いだったわけで、10年後くらいに改めて一人で見たら、号泣してしまい大変だった。

観るべきタイミングも重要なのだ。

同じ映画でも、自分が鑑賞したときの状況とか、年齢とか、場所とか、誰と観たかということで感じ方が変わるから面白い。

映画の内容自体は変わっていないのに、自分自身が変わっていっているんだ。

だけど、随分昔から憧れる女性像は変わりがないようで。

それは、

『LE GRAND BLEU』のジョアンナだ。

彼女が物語の最後でジャックマイヨールにかける言葉に

何度観ても、

ただただ、すごいなぁと思う。

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2007年7月26日 (木)

ワラエレバ的ミテミレバ①

昔から、なぜか私が薦める映画は、たいがい眠くなるか、つまらないか、イマイチ意味が分からない。と友人達から言われることが多い。

自分が良かれと思って薦めたものに賛同してもらえないことほど悲しいことはないかもしれない。

自分の感じ方が、他の人と多少ずれているのかも、、と不安になったりもする。

そういや、泣き所が違う!と指摘されたこともあったけ。

そんなの、人それぞれ違うに決まってる。

 

・・・ということで、懲りずにここでも映画を紹介していきたいと思います。

あくまで紹介するだけです。

観る、観ないは個人の自由ということで(かなり弱腰・・)。

 

「カタクリ家の幸福」

カナダから第1回目に紹介する映画が邦画というのはおかしいと思いますが、

実はカナディアンの友人に、かなり薦められて一緒に観たものです。

「The Happiness of The Katakuris」!

「ハッピネス オブ カタクリス」!

と薦められても、”カタクリス”って何のことだか分からなかったのだけれど、、

なるほど、カタクリ家ね、名字だったのね、、そんな名字聞いたことない。

どうりで辞書で調べても見つからなかったわけだ、と納得しました。

一言でいえば、クレイジー映画。です・・。

ホラーで、コメディーで、そしてミュージカル。 

はい、想像がつかない感じかもしれません。

あの三池崇史監督が、韓国映画「クワイエットファミリー」をもとにミュージカル仕立てにリメイクしたものらしいです(2002年公開)。

 

リストラをきっかけに田舎でペンションを経営し始めた家族6人。

でも、めったに観光客が来ないペンションに、やっと来た客達は、なぜか謎の死を遂げていってしまう・・。死体を裏山に隠し、何もなかったように振舞おうとしたのが運のツキ。

・・・果たしてこの家族に平和は訪れるのか!?

という内容です。

出演者も豪華で、夫婦役にはジュリーこと(古い?)沢田研二&松坂慶子。子供役には武田真治&西田尚美。おじいちゃん役には丹波哲郎。その他にも、私の愛する忌野清志郎兄さんがイギリス国王の血をひくアメリカ軍人(?)をやっていたり、竹中直人がちらっと出演していたりします。

ミュージカル映画が苦手な人達は、なぜそこで踊って歌うのか意味が分からない。という理由をあげる人が多くいますが、この映画はそこを逆手にとっている感じです。

そこでも踊るかっ!?とつっこみたくなる場面満載です。

恋に落ちては歌って踊る。

死体を見つけては歌って踊る。

警察が取調べに来ても歌って踊る。

そんな感じです。

とりあえず、踊ってみる。その踊りが全くそろってなくて、独特で、本気のミュージカル映画製作者から見れば間違いなく撮り直しのものだと思います。

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」もびっくりです。

最初は軽く失笑でしたが、途中からは友人とともに爆笑でした。

この映画のシュールな笑いは国境を越えました。

出演者全員が自分を捨てています・・・。

そして丹波さん。ひときわ光を放っています。

ここへきて、いまさらながら日本映画界は惜しい人をなくしてしまったのだと実感。

ひたすら笑ったあげく、最後には、軽く「家族ってやっぱりいいな・・」なんて思えてしまうのもこの映画の良さ。

 

日本はもうそろそろ梅雨明けをするみたいですが(もうしました?)、退屈な雨降りの日に、軽い気持ちで見てみるのをお薦めします。

間違っても、わざわざカップルで観るものではないです(あくまで弱腰・・)。

私は原案となった「クワイエット・ファミリー」を友人と見てみようと計画中です。

ワラエレバ的ミテミレバ。

かなり不定期に紹介していきます。

決してカナダネタがきれてきたわけではないです、あしからず。

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