« 蕾 | トップページ | ないものねだりな私達 »

2010年4月 4日 (日)

理由なんてさ。

休みの前夜はどれだけ疲れていても早く眠ろうとは思えない。

逆に、疲れていればいるほど、まだ眠りたくないと思ってしまう。

昨夜もそんな感じで、真夜中を過ぎてからマフィンを焼きはじめた。

ボールに卵を割りいれてほぐし始める瞬間、粉をふるいにかける瞬間、生地の膨らみを確かめる瞬間、甘い匂いがキッチンを満たし始める瞬間。

夜中に過ごすキッチンでの時間が大好きだ。

リビングでは妹がDVDを見ながら夜更かしをしている様子。

RADWINPSのメロディーが聴こえてきた。

切なくて真っ直ぐな歌詞は、私に初恋のあきらくんを思い出されてくれる。

小学校6年生で初恋というのは、一般的に遅いのだろうか、早いのだろうか。そもそも初恋の定義は人によってそれぞれなのかもしれない。

私はとても明確に感じていたように思う。

12歳ながらに、夜眠る前、あきらくんのことを考えると胸が詰まってどきどきして眠れなくなってしまう。

そして、「これが恋というものなんだろうか、・・・私は今、恋をしているんだ!」、と気づいて、自分に興奮していた。

小学生の頃などは、大概の子達が特定の男の子や女の子のことを好きだと言っていたよう思う。

それを思えば、おそらくあきらくんに初恋をしていたのは、唯一私だけだったのではないだろうか(あきらくんには失礼だろうけど)。

あきらくんはアウトローな小学生だった、少なくとも私にとっては。

女の子達とはほとんど話しなどせず、いつも男の子達数人と、どうでもいいような話をして、笑い転げていたような。私には、さっぱりその面白さが伝わらなかった。

そんなあきらくんに、ときどき意地悪を言われたり、ちょっかい出されたり、話かけられることがあって、なぜか気になりだしてしまったのだ。

そこには明確な理由なんてない。

調理実習で同じグループになれてうれしかったのに、当日彼は休んでしまい、私はもてる限りの勇気を出して、彼の家まで実習で作ったドリアかそんなようなものを持っていったのを覚えている。

渡せたことで満足。それで充分。自分の気持ちを分かってほしいとか、知ってほしいとか、それに応えて欲しいなんてことは考えず、ただそれとなく伝えるだけで精一杯。

卒業式に撮った写真にたまたまあきらくんが写っていることに気づいてときめいた春は、もう20年近くも前のことらしい。

 

この間、学生時代のバイト友達と久々に食事をした。

彼女は私より一回り年上の女性だ。

相変わらず良く似合うショートカットに少年のように痩せた長身。赤と黒のボーダーのシャツワンピを着て、メッセンジャーバッグを背負って自転車で彼女は現れた。

隠れ家的レストランがあるから、そこでランチをしましょうと言われたのに、隠れ家すぎて店を探すのに30分もかかってしまった。それを相変わらずだねぇなんて笑い飛ばしながらぶらぶら歩いた。

彼女は、「今年は、とりあえずなんでもやりたいことやってみようと思ったんだよね。まず年越しに好きな人に告白しました。返事ないけどね。それからインドで2週間ぶらぶらしてきたよ。そこで私の目指すべき人を見たの。乞食なんだけどさー、雰囲気が圧倒的なのよ。人に、物をくださいって素直に頼めることってすごいことだと思わない?・・・これからフランス語のレッスンに行くの。」などと、支離滅裂に、かつ飄々と話す。

変わってないねぇなんて笑いつつも、彼女の感じ方や行動が気になって仕方がない。

そこには明確な理由なんてない。

一回りも年上で、かつ対等に話せる女友達は彼女一人だけだ。

彼女の、「やりたいと思うことをやってみるよ」、その覚悟は徹底的に潔い。

  

友人のインド旅話に、再び旅熱が上がってしまっている。

インドは、呼ばれたら行くべきところだよ、と誰かが言っていた。

私はいつか呼ばれるかな。

くるりの『ハイウェイ』が好き。特に前奏が猛烈に好き。

 

僕が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって

ひとつめはここじゃどうも息が詰まりそうになった

ふたつめは今宵の月が僕を誘っていること

みっつめは車の免許とってもいいかな

なんて思っていること

俺は車にウーハーを

つけて遠くフューチャー鳴らす

何かでっかい事してやろう

きっとでかい事してやろう

飛び出せジョニー気にしないで

身包み全部剥がされちゃいな

やさしさも甘いキスもあとから全部ついてくる

全部後回しにしちゃいな勇気なんていらないぜ

僕には旅に出る理由なんて何ひとつない

手を離してみようぜ

つめたい花がこぼれ落ちそうさ

 

何をするにも、何を好きになるにも、理由なんてどうでもいいのかもしれない。

ほんとにそれをしたいなら、ほんとにそれが好きだと感じるのなら、

理由なんていらない。

人に聞かれたら、

分かったような顔して、それなりにかっこいい理由を、適度に適当な理由を

後付けしてみればいいような気がする。

|

« 蕾 | トップページ | ないものねだりな私達 »

日々のくらし、イベント。」カテゴリの記事

sing sing sing」カテゴリの記事

コメント

きょうもにいさんと飲み。

マフィインは美味しくやけたかな?
いまから俺は卵かけごはんをたべます。

しかし今日はなんていい陽気だったんだ。
春のにほひがしました。

またね。

投稿: | 2010年4月 7日 (水) 01時30分

マフィイーーン(笑)は、思いつきで作ったわりには上手く焼けましたよ。
にいさんと飲みかぁ。男同士はいいなぁ、なんかそういうとこ。
私は女二人で京都日帰り旅に行ってきます。食べて飲んでしゃべって、、女同士もいいもんですよ。
春ですね。桜吹雪に遭遇してしまうかも。
ではまた。

投稿: → | 2010年4月 7日 (水) 08時42分

Refresh

良い旅した?
京の都の桜につつまれたかのう。

投稿: | 2010年4月 8日 (木) 00時47分

この記事へのコメントは終了しました。

« 蕾 | トップページ | ないものねだりな私達 »