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2009年4月 6日 (月)

別れと再生。

風が少し強いけれど、暖かい。春が来た気がする。

また、ジャマイカ・ポンドのまわりを毎朝歩き始めた。

最近は朝霧のかかる日が多く、その景色は幻想的で、だんだんと霧が薄れるのを感じながら黙々と歩いていると、体も気持ちも浄化されるような気分になる。

 

一時期とてもお世話になった人が亡くなった。

ジャマイカ・ポンドの朝霧の中を私は歩きはじめた。

この状況は、私に『ムーンライト・シャドウ』を思い起こさせた。

吉本ばななさんが22歳の頃に書いた短編。

彼女の書く文章は女性的というか、なんだか綺麗で、繊細で、少し軽い文章のような先入観を持っていた私は、

この短編を読んで、生まれて初めて人の文章で泣いた。

22歳という若さで書いた文章は荒削りだけれど、真っ直ぐに響き、

大学一年生だった私は、何度も何度も読み返し、その度に最後のページは涙でぼやけてしまうのに、読み終わった後にはいつも前向きな気持ちになっていた。

これは大切な人を失くした喪失感、孤独、そしてそこからの再生の話。

恋人を亡くした主人公が、朝一番の光を待つまでの長い孤独の時間を埋めるため明け方のジョギングをはじめ、そこで不思議な体験をする・・・という話。

恋人や家族、親友、大切な人々を失くしてしまう話はそこらじゅうにあるけれど、私にとってこの小説ほど、その時の気持ちを透明で率直な文章で表したものに出会ったことがない。

死というのは、常にそこにあるもので、自分にとって大切な人達だからといって、そのできごとを避けたり、遅らせたりすることはできない。

平等にやってきてしまう。

突然にやってきてしまうこともある。

失ってしまって、後になって大声で言いたくなる、戻ってきて欲しいと。

当然な存在が、失ってしまってから、特別な存在だったと再確認する。

こんなことならもっと優しくできればよかったと。

だけど、失ってしまった現実を前にして、いつまでもそこにとどまってはいられないから

止めることのできない時間の流れに従って、みんな刻々と足を進めていく。

おなかも減れば、眠くもなるし、ときには大笑いをすることだってある。

失ってしまった物事や人々は私達の記憶の中に存在するから、決して本当に失くしてしまったわけじゃない。

『ムーンライト・シャドウ』の主人公がいう。

「大丈夫、大丈夫、いつかはここを抜ける日がやってくる。」

「私は幸せになりたい。長い間、川底をさらいつづける苦労よりも、手にしたひとにぎりの砂金に心うばわれる。そして私の愛する人たちがすべて今より幸せになるといいと思う。」

私のお世話になった人は、

お酒がとても好きで、酔うと話がとても長く、言うことやること豪快で

そして家族から愛された幸せな人だったと思う。

もう何年も顔をあわせることはなかったけれど

あの頃の元気な姿、そのままに、私の記憶にきっとずっと残るんだろう。

 

そして今朝、

その息子からの電話。

そろそろ落ち着けやら、子供はかわいいやら、親を大切にしろやら。

分かってます、そんなこと。

なんだか私がどうしようもない子みたいじゃない。

親子そろって酒を飲むと話が長い。

 

失う辛さに臆病になっていると、

それ以上の素敵な出会いを見逃してしまうかもしれない。

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コメント

確か21日、22日にBostonで敬愛するBruce Springsteenのコンサートがあるよ。日本じゃ見られないから是非行ってみてはいかがでしょう?当方、高校時代からのファンで25年前に大阪城ホールへ仕事をサボって見に行きました。昨年のグラミーの最優秀曲にも選ばれ老いてなお盛んなロックンローラーです。Eストリートバンドとはたぶん40年近く一緒に演奏しています。こういう男臭いのって素敵だと思うのです。話は変わりますが、まったく無名だった友人の知名度が20数パーセントまで上がってきました。河村たかしは50%を超えますが、数週間前まで誰も知らなかった人がここまでこれたのだから、後一踏ん張りです。連日のビラまきなどで体重2kg減りました。ダイエットには良いようです。

投稿: charie | 2009年4月 6日 (月) 14時39分

Bruce Springsteen来るんですね。たしかにあれだけのおじさんはなかなかいないかもしれないですね。
草食系男子が増えてくる中、私は絶対に男臭い、侍男子派です。
河村氏には何年か前、選挙活動中にスーパーで偶然会いました。握手をしてもらって少し話をしたのですが、TVで見るままの気さくでおかしな(?)感じの人でした。でも無名だった友人が20%を越したっていうのは快挙ですよね。ヘルプ頑張ってください、ダイエットも兼ねて。

投稿: →charie | 2009年4月 8日 (水) 10時47分

お父さん、還暦おめでとう。

少し前までは、60歳まで生きることはあたりまえと、思ってたんだけど・・・
やっぱり、還暦を迎えることは、すばらしいことだね。

たまは、連絡くださいね。

香織、無理せず

がんばれよ。

投稿: ようすけ | 2009年8月 1日 (土) 01時25分

ありがとう。
私が寿司を大好きになれたのは、
こりずに連れてってくれた峰雄のおかげです。
男前だったね。
たまには連絡するし、連絡してよ。
洋ちゃんも、無理せず
がんばれよ。

投稿: →ようすけ | 2009年8月 1日 (土) 14時04分

三十路やな~

香織も年をとったね。
最近のブログを見てるなんか悩んでそうやな~

大丈夫か?

無理せず、がんばれよ。

投稿: よすけ | 2009年9月16日 (水) 01時44分

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